〔カンボジアの闘牛〕
世界遺産として有名なアンコールワットなどがあるカンボジアでは、観光客向けに伝統芸能の影絵芝居「スバエク」が、レストランなどで披露されていました。偶然にもその中に「闘牛の話」があり、非常に驚きました。芝居はカンボジア語で演じられるため、観客にはそれぞれの言語に要約された文章がテーブルに置かれます。紹介文は、次の様な内容でした。
「闘牛の話」
カンボジアでは現在、賭けが禁止されています。このお話では、二人の男たちと一人の女性がひと儲けしようとお金を賭けて闘牛をしている場面から話が始まります。しかし、最終的には警察官が駆けつけて彼らを警察署へと連れて行ってしまうのです。
芝居を観た感じでは、二人の男性が談合して闘牛の稽古を見せ、絶対勝てるからと女性を抱き込み金儲けを企むものの、結果的にその牛が負け「話が違う」と内輪もめを始めて取っ組み合いになり、警察の世話になってしまうという内容のようでした。
島でも「牛はだきだき」とか「させてみないと分からない」と言われています。古来より闘牛を「なくさみ」と呼んでいるのは、全力を出して闘う牛の姿が人を引き付けるからではないでしょうか?
何しろ、相手を選ぶのは主であり、牛も「こんな武器(角)の敵なの!」とか「今日は体調が悪い」などもあるはずですが、殆どの牛は全力を出して闘うからこそ「なくさみ」であり、その姿に人間も励まされるのだと思います。
国が違っても、人々を元気づける力が闘牛にはあるようです。世界遺産登録に向けても、健全な闘牛文化の育成が大事であると感じました。